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「このポプリに使っている薔薇は私が育てているものなので安くお売りすることができるんです。もし良かったら、温室がこの奥にありますので見ていかれますか?」
「ここで育てているんですか?てっきり神梛さんのご自宅で育てているのかと思いました。」
そう言うと神梛さんは
「間違ってはいませんよ。ここの二階が私のプライベートルームになっておりますので。」
と言って微笑んだ。
「もし良ければ弟さんも一緒に見に行かれますか?」
そう神梛さんに言われて悠宇のことを思い出した。
「悠宇、ここの温室を見に行くんだけど一緒に行く?」
じっと見つめている新幹線の形をした小物から悠宇を引き離し聞いてみた。
「うーん。どうしようかな。そこって何があるの?」
そう尋ねる悠宇に神梛さんが優しく答えた。
「温室は、たくさんの植物を育てている場所です。今の時期ならフェンネルやローズマリー、コスモスなどの花が見られますよ。お母様への誕生日プレゼントにされてもいいんじゃないでしょうか。」
「へーじゃあ、行ってみる!」
悠宇がそう言うと神梛さんはお店の奥の茶色い木の扉を開けた。
「「うわあ!」」
そこには色とりどりのお花が咲き乱れていて、部屋の中は不思議な香りに溢れていた。
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