3人が本棚に入れています
本棚に追加
「あの、この濃いピンク色のお花と小さな白いお花って……?」
「この濃いピンク色のお花はダリアというコスモスやマーガレットと同じく9月の誕生日花で、小さな白いお花はフェンネルという花です。これはサービスで勝手に加えさせていただきました。」
神梛さんの手によってアレンジされた花束は、ダリアの濃いピンクとコスモスやマーガレットの淡い色と合わさりとても華やかでいて落ち着きがあった。
「とっても綺麗です!ありがとうございます!」
お礼を言うと神梛さんは「これも特別にお付け致します。」と言って悠宇がじっと見つめていた新幹線の小物を袋に入れた。
「えっ!そんな!良いですよ!」
そう言うと神梛さんは微笑んで「お気になさらずに」と言った。
「悠宇、お礼は?」
私が言うと悠宇は開いたままになっていた口を閉め「ありがとうございます。」と言った。お会計を済ませてお店を出ると、空はもう茜色に染まっていて、どこからか魚の焼ける香ばしい香りが漂ってきた。
「お腹空いたね、悠宇。お父さんがケーキを用意して待ってるから早く帰ろう!」
「うん!」
もうすぐ我が家だ。またいつかあの不思議なお店、「Wonderland」 に行きたいな。
「お母さん、プレゼント喜ぶかな。」
「喜んでくれると良いな。じゃあ、悠宇と私のどっちが先に家に着けるか競争しよう!」
「「よーいスタート!」」
最初のコメントを投稿しよう!