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暗い夜道をひたすら走った。頬を伝って落ちた涙が道路に小さな染みを作っていた。
「もうお母さんなんか嫌い!私のこと何もわかってない!」
そう言ってサンダルを足に引っ掛け、家を飛び出してきたのはほんの数分前だ。吹き付けてくる冷たい風が心まで冷やしていくような気がした。お母さんとの喧嘩の原因は私の進路のことだった。次の三者面談で志望校を確定しなければならない。私は朝早く起きることができないから夜間に通える高校に行きたいと言ったのだがお母さんは「それは結莉花(ユリカ)が努力してないだけでしょ!?だいたい夜間に通えるような高校は偏差値が低いじゃない!」と言って理解してくれなかったのだ。確かに私の成績はこの地域のトップレベルの高校に入れるほどのものだ。だが、私は朝は体が重くて力が入らなくて朝早くに起きることができないから夜間に通える高校を志望したのだ。今はお母さんが起こしてくれているが学校は毎日のように遅刻している。私だって努力していないわけじゃいないのだ。いつもより早くベッドに入っても眠くなってくるのは結局いつもと同じ時間で、起きるのをやっぱりいつもと同じ遅刻ギリギリの時間だ。その事をお母さんに一生懸命訴えてもお母さんはちっともわかってくれない。「努力していないだけだ。」と言うのだ。それがとっても悲しくて辛くて私は家を飛び出してしまった。そんな結莉花の前にぽつんと暖かなオレンジ色の明かりのランタンが灯っていた。
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