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「なぁ、喫茶店いかねえか?」
車の運転中に、石橋勝重が放った第一声だった。
だが、助手席の立花沙世は黙ったままだった。
石橋は沈黙に耐え切れず、片手で頭をかいた。
「だって・・・」
沙世が沈黙を切り崩した。
「だって、イシさんの車内で話せない話って、いつも・・・」
「いつも、なんだよ?」
石橋が、強めに切り返す。
が、沙世も負けてはいない。
「ろくでもない事じゃないですか!!」
「ろくでもないって、お前・・・可愛げね~女だな、
あ・・・ホントろくにねぇな、こりゃ!」
石橋の運転する車の先には、まったく喫茶店は見当たらなかった。
「まじかよ・・・・あ、あそこ、あそこでいいか」
沙世もつられて正面を凝視した。
「あそこって、コンビニじゃないですか?」
「ま、いいじゃね~か、コンビニでも」
石橋達を乗せた車は、吸い込まれるようにコンビニの前で止まった。
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