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「……消えた?」
一瞬で彼らの姿は世莉の目の前から消えてしまった。
「昇華したんだ」
「昇華……、そっか、そうなんだ……、えへへ……」
何となく笑いたくて、でもまだ涙もこぼれている状態で、よくわからないけれどそれでもいいやと笑えば「ったく」と呆れるような声が落ちてきた。
「ほら」
その声とともに目の前に差し出されたのは一枚のハンカチだ。
「……」
「要らないなら引っ込めるけど?」
「あ、ありがとうございまっ、 ひゃあっ!」
変な言葉になったのは、そのハンカチを受け取ろうとした瞬間、また大きな静電気が起きたから。その現象に彼は険しい顔を見せた。
「……お前、何持ってんの?」
「え? 持って? いえ、何にも――、あ」
思い当たるのはひとつだけ。そう思って世莉はポケットから鈴を取り出した。勿論取り出してもこの鈴は鳴らない。
「それ――、っ!」
世莉が手にした鈴に彼が手を伸ばすと、やはり静電気が起きて世莉は「え?」と首を傾げた。
「俺を拒むなんて」
「はい?」
意味がわからず聞き返す世莉だけど、彼は「まぁいい」とその手を引っ込めた。
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