プロローグだとか、違うとか

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「いずれそれ、貰いに行くけど、穢れないようにちゃんと無くさず持ってろよ?」 「は? なんか全然意味が分からないんですけど!?」 「別に理解しなくていい」 「な、何勝手に完結してるんですか!」 「それより、下で待ってるお友達の記憶消していいか?」 「はい!? そんなこと出来るんですか!? って、そう言えば一緒にここに来た男の人は?」  世莉の発言に神威は「あぁ、見えたのか」なんて言うから、彼女も察してしまった。そう、きっとあの彼はほかの人には見えなかったのだ。言われてみればここに来るさいもみんな神威のことしか言っていないことに気が付いて、世莉は脱力した。 「あれは――」 「あの『彼』なんですね」  その答えに神威は満足するようににんまりと笑った。 「受験に失敗して自殺未遂、その結果昏睡状態で、原因調査。そのために俺はここにきて、そしてさっきまるっと解決。これで説明はいいか?」 「……なんか、納得いかないです」 「別にお前の納得料は入ってないから問題ない」  季節外れの転校生というのも、そう言うことなんだろう。 「……えーと、よくラノベで見るチートな祓い屋さん、とか?」 「別にチートじゃないし、祓い屋なんてものも知らん。俺はこれでも神主だ」 「はい!? 神主!? 神主が九字を切るっておかしくないですか!?」 「うっさいな! 陰陽道も極めてんだよ! っつかお前こそなんだよ!」 「って、さっきから『お前』って、私は久遠世莉っていう名前がっ」 「あー! どうでもいい! うん、全部どうでもいい! で、どうせお前には術かかんないだろうから諦めるとして、下の奴らの記憶消すぞ? 覚えてていいことないからな」  確かに、あんな怖い記憶なんてないに越したことはない。できれば自分の記憶だって消してもらいたいくらいだが、そうなるとあの子たちのことまで忘れてしまうということで……。
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