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「中にあるだろう? それが世莉を守ってる玉鋼だ」
尊にそう言われ、世莉が鈴の隙間から中を覗くと確かに小さな丸い金属が見えた。
「それがハバキリの欠片なんだよ」
「はば……?」
それは一体なんでしょう? 首を傾ける世莉に神威は呆れるようにため息をついた。
「アメノハバキリ。須佐之男がヤマタノオロチを切り裂いたとされる神剣だ」
「はぁ……」
スサノオノミコトは誰でも聞いたことはあるだろう。ヤマタノオロチもまたしかりだが、アメノハバキリ?
「古事記にある話でな、須佐之男がヤマタノオロチの尾を切り裂いた際、アメノハバキリは折れてしまい、その尾からは雨の叢雲が現れたと言われておる」
「あ、アメノムラクモは聞いたことあるよ」
そう答えると尊は「当然だ!」と叫んだ。
「アメノムラクモは別名、草薙の剣、三種の神器のひとつだ!」
「……すんません」
思わず謝る世莉だが、フツーの女子高生がそんなの詳しいわけがない。これがいたって普通の反応だろう。
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