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「で、これがアメノなんとかって剣の欠片なんだ」
そういって鈴を振るけど、やっぱり音はしない。
「鳴らんよ、鈴にカモフラージュしとるだけで、鈴では無いからな」
「……」
そう、これは鳴らない鈴だって貰ったときにも教えてもらったりけど……。
「その鈴に願でもかけたか? お前を守るように結界まで張ってる」
「は? 結界!?」
ラノベチックな単語に、世莉は思わず聞き返してしまった。
「いや、すみません。この子は昔から見える体質らしく、だから魔除けになればと御守り代わりに持たせたのですが……」
見える体質。昔は確かに人には見えないものが見えていた。小さい頃はその区別なんて付かなくて、周りから気味悪がられて、挙句父親にも捨てられた。でも、それは3歳のときのことだから世莉にはほとんど記憶にはない。
『くっ、来るなっ!!』
だけど、ひどく引きつた顔で叫んだ声だけは覚えていた。
駆け落ち同然だった母親・真理は、世莉のためにこの神社に戻ったのだと、一度尊に聞いたことを世莉は思い出した。
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