鈴が鳴るとか鳴らないとか

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 だけど、その日に限って友達と怖い話をしよう、ということになった。子供は怖い話が大好きだ。それはほとんど作り物だし、「きゃー」とか笑って済まされるくらいなんだけど、一人が「コックリさんしよう?」と言い始めたときから、世莉は嫌な感じがしてた。  だけど「止めよう」の一言が言えずに、世莉も一緒になってコックリさんをやった。けれど、とにかく背筋がゾクゾクして気持ち悪くて仕方なかった。  ──パシッ!  突然のラップ音に皆が驚いて十円玉から指を離してしまった。 「ごめんなさい! ごめんなさい!」とみんなで何度も謝って終わったコックリさん。 「世莉ちゃん、顔色悪いよ?」  そう言われたが、世莉は「大丈夫だよ!」となんとか笑って急いで家に帰った。きっと鳥居をくぐったら大丈夫。そう思ったのに、両肩の重さが消えない。 「世莉ちゃん、今日お守りテーブルに忘れてたわよ?」  玄関に迎えに来てくれた真理の手には鈴があって、それを受け取った瞬間、鈴が鳴った気がした。  気がした、というのはその後の記憶がないから。世莉は熱を出して帰るなり倒れたらしい。
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