鈴が鳴るとか鳴らないとか

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 だから結局あれがコックリさんのせいなのか、鈴に触れたからその程度ですんだのか、そのあたりは分からないのだけど、それから世莉はこの鈴を常に持ち歩いてる。  考えてみれば、この鈴は世莉に危険なことが起きようとしているとき、頭の中で警鐘を鳴らしているのでは……? そんなことを思い返していると、「聞いてるのか?」と神威に意識を呼び戻されてしまった。 「き、聞いてます!」 「ま、いいけどな。で、続きだけどここの御神体がハバキリの鞘だと言われてる。だからお前の持ってる玉鋼に惹かれて、お前と同化したんじゃないかってことだ」 「はぁ……」  鞘と同化とか、意味がサッパリです。というか──。 「お前じゃなくて、世莉です。久遠世莉! 前にも言いましたけど! 神威先輩!」 「別にお前の名前なんて聞いてない。ってかなんで下の名前呼びなんだよ? あと別に俺はお前の先輩じゃない」 「……なら、神威さんでいいですか?」 「だからなんで――、って、もういい」  二人の不毛な会話の最中にも、尊は一人重いため息をつく。 「それにしても、世莉の中の鞘をどうしたものか……」  そう、問題はそこだ。それにしても本当に私の中に入ったの? 全然実感のない世莉だが、周りの態度を見れば嘘ではないと思える。そんな尊の視線は神威に向けられてて、彼もそれに気付いて大きくため息をついた。
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