巫女になるとかならないとか

6/37

4066人が本棚に入れています
本棚に追加
/82ページ
 そもそも、うら若き乙女が居るっていうのに、若い男を泊めるってどういう了見なのですか?  と言いたいところだが、実際世莉のうちは田舎のせいか部屋はあまり倒してる。 しかも離れなんてものまであるから、彼が泊まることに不自由はない。 「……ん? なんかうるさい?」  田舎の夜は静かだ、なんてのは大嘘だ。風が吹けば葉のこすれる音がハンパないし、虫の大合唱なんて耳を覆いたくなる。  けど、なんか今夜はさらに輪をかけてうるさい、というかざわざわしてる。まるで大勢の人間に囲まれているような錯覚に陥って世莉は顔をゆがめた。 「──っ」  そして、背中の冷たいものを感じ世莉は体を硬くした。最近は無かったのに、尊が言うとおり大人になったから感じなくなったと思ってたのに──。
/82ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4066人が本棚に入れています
本棚に追加