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「世莉ちゃんお風呂入りなさいねー」
「──ふぁっ! ハァ……」
私、息止めてたの?
肺に入ってくる空気にむせそうになる。いつの間にか、ぎゅっと握った手のひらを見ると、ぐっしょり汗をかいていた。
「世莉ちゃーん?」
「う、うん、入るから」
真理の声に空気が一気に軽くなっていく。さっきまでの気持ち悪さもラップ音も鈴の音も、全部嘘みたいになくなってた。
「……なん、だったの?」
周りを見渡すけど、何も変わってないし鈴もやっぱり動いてない。さっきまであった気持ちの悪い気配もまるで感じないけど……。
「居ない、よね?」
窓の外を確かめたくて、勢いよくカーテンを開けた。けど、見えたのは電気の点いた離れだけで、誰もいない。
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