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「……まさか、ね?」
彼が人間ではない、なんて仮説を立ててはみたけど、彼はそれに対峙する側の人間だ。それに彼は曲がりなりにも神主なんだしあり得ないだろう。
でも、と世莉は考えてみた。尊が怨霊と戦って――。
「ない、ね」
そう結論付けた瞬間、離れの灯りがふっと消えた。まだ10時だというのに早い就寝だ。もしかしたらこんな田舎までの移動で疲れたのかもしれない。
それにしてもさっきのは何だったのか? 気のせいと言ってしまうにはあまりにもリアルだったけど……。
「お風呂、入ろ」
べつに清めとかそういう意味ではないけど、なんかどっと疲れを感じて、世莉はパジャマを手に部屋を出た。
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