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それにしてもこの空腹ゾンビ獣人とゲロハンマーっ子は見向きもされない。その点ソアラは普通な子だ。
普通が一番ってことだな。
「ちょっとコウジ!澄ました顔してないでなんとかしなさいよ!!!」
なんとかと言われてもあの量の冒険者を農夫の俺が相手にするのは無理だ。
それにしてもなぜ俺らには憑依霊が付かなかったんだ。
「ヴァー、、、、」
肩を貸しているミシュリが呻き声をあげている。
危ないので捨てた。
「おいコウジ!さっきはよくもやってくれたな!」
レイタスが俺のもとに歩み寄ってきた。
もはや存在を忘れていた。
レイタスがどや顔で続ける。
「俺の神の加護に救われたな。俺とパーティを組んでいる限り雑魚霊にはとりつかれることはない」
そう言うことか。
こいつに救われたと言うのはなんだか癪だが助かった。
もし憑依されていたら、俺もあの冒険者と共にソアラのケツを追い回していただろう。
「お前の加護とやらでこの状況をどうにかできなきのか?」
「俺の加護でもあの数のとりつかれた人間はどうすることもできない。だが、何とかする手はあるぞ」
レイタスはゴーストリーパーの方を指差した。
ゴーストリーパーは憑依霊の方に集中している。
なるほど、大元を狩ればいいと言うことだな。
うん。無理だ。
「相手は魔王軍四天王だぞ。農夫の俺が勝てるわけないだろ」
自分で言っていて悲しくなるが、俺は農夫だ。
勇者でも戦士ですらない。そんな俺が魔王軍。しかもその幹部と戦えるわけがない。
絶望する俺にレイタスはニヤリと笑う。
「俺と合体するんだ」
ものすごくイヤだ。
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