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確かに俺の死は唐突に訪れた。
明け方までゲームのイベントをこなし、一眠りしようとその場に寝転んだ。
そして起きたらここにいたのだ。
睡眠不足でも、心臓麻痺でもなく、まさかただの手違いとは呆れて怒りもでない。
「あなたに人間に転生するチャンスを与えます」
「おい、さっき手違いって」
「チャンスを与えます」
やれやれ。聞く耳持たずか。
だが、チャンスとやらがなんなのか、せめて聞いてみるくらいは悪くないだろう。
どうせレタスだしな。
女性が続けて話した。
「あなたの暮らしていた世界とは異なる世界で、勇者が行方不明になるという事件が発生しました。魔王は勇者の手によって倒されたのですが、その直後に勇者が居なくなってしまったため、残党達が支配を続けているのです」
「代わりに勇者をやれと、、、?」
「いえ、勇者は世界に一人の存在なのですが、勇者の死が確認できない今、あなたは勇者にはなれません。ですのであなたが転生した暁にはあなたに適した職業のステータスをほぼカンスト状態にして差し上げます」
戦士適正であればパラディン。魔法使いであればアークメイジになれると言うことか。ゲーム大好きな俺からすれば悪くない条件だ。強力な潜在能力を持つ異世界の戦士。ラノベの主人公的な感じじゃないか。
「でも言葉とか文字はわかるのか?」
「安心してください。その世界は五十音があり、日本語とほぼ同じです」
そんなご都合主義な異世界はなんか嫌だ。
「更に今ならもれなく三回までは死んでも生き返らせて差し上げます。記憶も肉体もそのまま引き継ぎ可能。転生の目的は勇者の捜索と残党の抑制。さて、どーします?」
ここまでくるとなんだか胡散臭いな。
でも来世でレタスになるか、ラノベの主人公になるか。
答えは簡単だ。
「異世界に転生します」
「それではコウジさん。あなたの手続きを完了とし、転生致します」
差し出された契約書に俺の名前と異世界転生の旨が浮かび上がる。
そして足元から沸いた青白い光が俺を包み込んだ。
そんな時、俺の中でどうでも良い疑問が浮かんだ。
「世界に一人勇者がいるってことだけど、俺の世界の今の勇者って誰なんです?」
「ヒョー○ルですね」
「なるほど」
こうして俺の異世界物語が、幕をあけた。
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