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何はともあれ、これで進みやすくなった。
とはいえ、この広い山道を宛もなく歩き回るのはあまりにも辛い。
どーにかならないものか。
その時レイタスが言った。
「この山から究極人参の気配を感じる。究極人参はこの山に落とされたようだぞ」
なるほど。まぁ今は目指す宛もないし、いい目的になるか。
「今のところ宛もないし、取り合えずレイタスを頼りに究極人参探すか」
「それは名案ですコウジさん!」
究極人参を先に手に入れた方が、いざ戦闘時に誰かさんが空腹で動けなくなることもないしな。
「んで?どこら辺にあるんだ?究極人参は」
「洞窟の方から神の気を感じる」
「洞窟じゃ意味ないじゃん」
「いや、知らねぇよ」
仕方がない。取り合えず山を道なりに登ってみるか。
そして俺たちが山道を踏み出したその時、どこからか物音が聞こえてきた。
「おい、なにか聞こえないか?」
「んー。なんかバサバサ聞こえるわね。ゴリラバードでも飛んでるんじゃない?」
なんだその不気味な生物は。
「コウジ。あれ」
ルルが山の上空を指差す。なにかいる。
真っ黒で翼の生えた大きなトカゲのような、、、え?あれドラゴンじゃね?
「薄暗くてよく見えませんね。大型の魔物でしょうか」
そうか。こいつらにかかってる暗視スキルは不完全だからちゃんと見えてないのか。
「おいソアラ。この世界にドラゴンはいるのか?」
「え?なによコウジ。この世でドラゴン族は最強の種族じゃない。数は少ないものの一匹で国を一つ二つ簡単に滅ぼせるとか。なんでそんな常識を今聞いて、、、ってコウジ!どこ行くのよ!」
さぁ帰ろう。見つからないうちに帰ろう。
「こっちに来る」
「え?」
上空に目をやる。
無情にもドラゴンがゆっくりと俺たちの方へ近づいて来ているのがわかる。
俺たちに気がついていると言うわけでは無さそうだが、これはマズい。
「や、ヤバい!みんな!洞窟に隠れるぞ」
「えっ?ちょ、コウジ!ちょっと待ちなさいよ!」
俺達は脇目も触れず、洞窟の中に逃げ込んだ。
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