63人が本棚に入れています
本棚に追加
「ちょ、ちょっと!コウジ!なんなのよもう!」
洞窟の入り口からだいぶ離れた。
追ってきてる気配もないしもう大丈夫だろう。
「ド、ドラゴンがいた」
「は?バカじゃないの?ドラゴンは世界の最果てに生息してるのよ。なんでこんな人里の近くに現れるのよ」
「知るか!いたんだよ!真っ黒で翼の生えたでけぇトカゲみたいなのがな!」
「黒って黒神龍じゃない!アホなの?バカなの?おとぎ話に出てくる伝説のドラゴンよ!」
「うるせぇ!いたもんはいたんだよバーカ!」
「なによ!このウンコウジ!」
それはやめろマジで。
「コウジ。周り見て」
ルルの一声で我にかえると、事の重大さに気がついた。
モンスターに囲まれてしまっているのだ。
しかも寝ているところを起こされたように目を血走らせている。
いや、起こしたんだろうけど。
「ちょっとウンコ!どーすんのよこれ!」
コウジだ。
「取り合えず、やるしかないだろ」
俺達はお互いの背中を壁に、武器を構えた。
「待て魔族ども!引け!」
へ?
すると突然周囲の岩が音をたてて俺たちの前に集まり始めた。
「な、なんだ!?」
「岩が合わさっていきます」
集まった岩は合体し巨大な岩石に変身した。
見た目はまるでRPGの序盤の洞窟で終盤まで道を塞ぐ岩のようだ。いずれ消えるあれだ。
「なんだこのでけー岩は」
「ウンコの王様かしら?」
いい加減ウンコから離れろ。
「誰がウンコじゃ!誰が!」
ウンコもとい、岩の集合体は反転し、俺たちに向かい合った。
なぜこの表現ができるかと言うと、顔だ。岩に海苔弁当のような濃い顔がついているのだ。
最初のコメントを投稿しよう!