異世界は罪と共にあれ

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「なんてうるさい顔なんでしょう、、、」 「うるさいって言うか、、、ブサイクね、、、」 「見るに耐えない」 女性陣容赦ないな。 「う、うるさい!助けてやったのになんて失礼なやつらだ!」 気がつけば魔物達はそそくさと自分達の巣へ帰っていく。 助けてくれたのは確かなようだ。 とりあえず海苔弁岩には俺が謝った。 「お前は魔物なのか?魔物とはまた違うオーラを感じるぞ」 レイタスが海苔弁岩に近づき、顔をジロジロと眺めている。 「それにしてもブサイクだ」 「まだ言うか!」 海苔弁岩は咳払いをし、続けた。 「俺のことは、まぁ魔物と思ってくれていい。それよりさっきの話を聞きたい。ドラゴンが現れたと」 これは助けたお礼にドラゴン退治をお願いされる流れになる可能性があるな。 はぐらかそう。 「い、いや、俺の見間違いだろう。暗かったし」 「ほら!やっぱり嘘だったんじゃない!私に嘘をつくなんて百年早いわよ」 なんだか癪にさわるがまぁいい。これでイベント回避だ。 「そうか、、、まぁいいや。お前達を冒険者と見込んでちょっと頼みがあるんだが」 くそっ。ドラゴンはフェイクか。 結局こうなるのか。 「近頃この山に妙な魔族が現れるようになってな。ぜひ退治してきてほしい」 なるほど。恐らくこの海苔弁岩が言う妙な魔物とは、俺達のターゲットエネミーと同じ魔物を指すだろう。 魔物も困るってどんな魔物なんだ、、、。 「その魔物の特徴は?」 「スライムだ」 ス、スライム、、、? ゲームにおいてチュートリアルモンスターとも言えるあのスライム? 「スライムですって。コウジ。これはチョロいわよ」 「私でも魔法無しで討伐可能」 ソアラとルルの発言を聞く限り、この世界のスライムも俺の現世のゲームにおけるスライムも、立ち位置は同じようだ。 「いや、違う。このスライムは触れた相手を溶かす。見た目こそ最初は普通のスライムだが、自身の質量を増やし、相手を包み込み、体内で溶かすのだ。強力な酸の塊が襲ってくると考えればわかりやすいだろう」 初見殺しにも程があるだろ。 「スライムはどの種もたいして強くないはずよ?そんな怖いスライム、今までそんな報告がないわ」 「新種のスライム、あるいはこの世のスライムではないのかもしれんな」 海苔弁岩はその面に似合わぬ深刻な面持ちで言った。
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