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 薄々感付いてはいたが、彼は整った容姿と人当たりの良さで女を引きつける。そして来る者を拒まない。  突然転がり込んできた少女は、若い事を理由に何も出来ないと主張して、店の手伝いも家の事も一切しない。  少しは何か手伝うように言うと、まるで私がいじめているかのように彼に告げ口をする。そして彼のいないところで、私に悪態をついた。  私が少女を煙たく思っているように、彼女も私が邪魔なのだろう。  彼に訴えても、子供のやる事にいちいち目くじら建てるなと、取り合ってくれない。  少女は若い事を武器に、わがまま放題で私を追い詰め、その若さで夜は彼を独占した。  ふすま一枚で隔てられた隣の部屋で、毎夜のように少女が、これ見よがしに嬌声を上げる。  とうとう耐えられなくなった私は、雨の夜雨音に紛れて、彼の家を飛び出した。  家出同然に出てきた生家には戻れない。私は町の近くにある村に住む伯母を頼った。  深夜ずぶ濡れで訪れた私を、伯母夫婦は何も聞かずに迎え入れてくれた。  翌日伯母から、両親が探していた事を知らされた。私は仕方なく家に戻れない事情を話す。  話している内に涙が溢れて止まらなくなった。私は彼に裏切られたのだ。  いや、そうじゃない。彼は元々そういう人だ。私に見る目がなかったのだ。     
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