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愛されていない事、愛想を尽かされた事が、こんなに悲しいと思えるほどに。
私に触れる事がなくなってからも、夫の態度は変わる事がなかった。
根が優しい人なのだろう。子供がいるから、別れようと言えないだけなのだ。
私の言葉を気にしたのか、夫は免許を取り、重機の運転手となって収入も増えた。
子供の手が離れると、私も再び働きに出て、二人の娘達をなんとか大学に行かせる事が出来た。
やがて娘達は就職し、少ししてそれぞれ嫁いでいくと、また二人きりの生活が戻って来た。
互いの間に会話はほとんどない。時々娘達が連れてくる孫と会うのが、唯一の楽しみだった。
夫が定年を迎え、二人でいる時間が増えても、会話が増える事はない。
無口で無愛想な夫は友達も少ない。時々近所の老人会に誘われてカラオケに行く以外は、ほとんど家にいて、本を読むかテレビを見て過ごした。
定年を過ぎた夫なんて、どこも似たようなものよ、と近所の奥さん達は言う。仕事しかしていなかったような人は、特にそうだと。
夫は私と結婚して、まさに仕事しかしていなかった。
夫にどんな趣味があるのか、どんな事に興味を持っているのか、私は全く知らない。知ろうともしていなかった。
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