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 空港に着くと出発ロビーまで彼女を見送った。搭乗ゲートへ向かう彼女は小さい手を胸元に引き寄せて小刻みに手を振ってみせる。いちいち「女」を見せつけるその姿がようやく消えると、ユキハルは長い長いため息をついた。  帰りのコーチでは、暗いのを幸いと深い眠りに落ちた。この五日間、緊迫した時間に捕われ、いやというほど眠りを妨げられたのだ。  ほどよい空調と、単調な振動に包まれ、深海を漂うクラゲのように、ユキハルはつかのまの安息を貪った。  ブライトンに戻ると、日は既に落ちていた。寝起きの身体にゾクリとくる、冷たい風が全身を包む。思わず薄いコートの襟を立て、喉元でかき合わせた。  この街の風と匂いは、いつも虚しさと孤独と、ほんの少しの安らぎをユキハルに抱かせる。
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