小間使い

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ラグラは、その光景をどのように受け取ったらいいか判らなかった。 立ちすくんで、ただその倒れている人を凝視する。 しばらくして我に返ったラグラは、医務室に走った。 走りながら徐々に体が震えてきて、医務室の扉に着いたとき、ラグラは立っているのがやっとだった。 何度か引き戸を開け損ね、ようやく開いた扉の向こうには、不審げな顔をした女の顔があった。 ラグラは、ほっとして、自分でもあとで驚いたのだが、その瞬間、わっと涙が(あふ)れて、女にしがみついて大声で泣き出していた。
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