chap.28 死霊術師の首飾り

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 そもそも、死霊術(ネクロマンシー)の最高スキル【屍操従】に、0→Z(レイズ)(カイ)といった引き数(パラメーター)は存在しない。  これらはあのおっさんが継承・研究したラザラスの秘術だ。  すなわち、右腕だけを残した01(ゼロイチ)は、電磁投射砲(レールガン)を搭載した固定砲台でしかなかった。  赤光(ココロ)青光(キャボ)黄光(ラズトン)は休むことなく宙を舞い、攪乱を続けている。  ヒメは羽虫を打ち払おうと、レーザーやマシンガン、ショットガンをひっきりなしに空中に向けて連射している。  エージェントはギネ界軍の兵たちを、苛烈な砲火から守っているのだ。  裏稼業の彼らも戦いを通して、将軍や兵士たちと心を通わせたのかもしれない。  俺がゲデに親しみ以上の感情を抱いたように。  ギネ界軍は四将を先頭にじわじわと後退している。  ギネ界軍と漆黒の蜘蛛(ヒメ)の中間に、ゲデとセクレが抜刀状態で立っていた。  二人は流れ弾を剣で弾いている。  褐色の肌を持つ赤い巻き毛の青年。  人の上に立つ者としてだけでなく、一人の男として心底羨ましいと思う。  彼に対してだろうか、それとも彼に影のように従う美しき女性(セクレ)に対してだろうか。少なからず嫉妬心すら湧いている。  俺も負けてはいられない。     
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