別れ話タイトルマッチ

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 全国一千万の別れ話ファンの皆様、こんばんは。本日のメインイベント、貴樹君と理穂ちゃんの修羅場がまもなくはじまろうとしております。都内のワンルームマンションという闘いのワンダーランドには安易なセンチメンタリズムなど入り込む隙もありません。ルール無用のデスマッチ。まさにリング上は修羅の棲む場と化しています。挑戦者、貴樹君は今回二度目のチャレンジです。今回こそ無事理穂ちゃんと別れることができるでしょうか。  さあ、共用廊下のヒールの音が貴樹君の部屋の前で止まりました。まもなくゴングと共に理穂ちゃんがリングインです。 <チャイムの音> 「どうしたの急に呼び出したりして」  理穂ちゃん、間合いを縮めていきます。貴樹君としては距離を取りたいところですね。 「理穂。じ、実はさ」  あー、いけません。貴樹君動きが硬い。この日のために何度もイメージトレーニングしていたのが活かせてませんね。もうすこしリラックスして距離を取りながらジャブから攻撃の突破口を開きたいところです。いきなり、インファイトに持ち込むのは危険ですね。このままでは理穂ちゃんの涙攻撃で別れ話がうやむやにされてしまった前回の二の舞になってしまいます。 「実はどうしたの?」  理穂ちゃんが顔を近づけてきました。これは完全にチャンピオンのペースですね。近距離での打ち合いに持ち込まれると圧倒的にハードパンチャーの理穂ちゃんが有利です。貴樹君、別れ話を切り出すことができるか。 「いや、あの、とりあえず座れよ。コーヒーでも作るよ」  貴樹君、スウェーバックして難をのりきりました。さあ、ここから立て直したいところですね。 「それより、外に食べにいかない? 安くて美味しいイタリアンレストラン見つけたんだ」 「マジで? どうしようかな」  貴樹君、ペースを握られっぱなしではいけませんね。このまま、ずるずるいくと、いつまでも別れることができなくなります。
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