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 蓋を開けてみれば、よくある痴情のもつれだった。二人はかつて恋人同士だったが、原瀬の方は元々、小柄な少女に異常に興奮する性癖があったようだ。  どんな趣味だろうと、おとなしく内に秘めていれば良かったものの。好みにぴったりのみかげを見つけて、原瀬は我慢できなくなった。結果、相手にされなくなった裕貴子は原瀬だけでなくみかげのことも恨むようになった……という訳だ。 「とんだとばっちりよ、こっちにしてみれば」  釈放されて再びコンビニを訪れたみかげは、そう言って頬を膨らませた。まあ、そう言いたくなる気持ちも分かる。みかげにしてみれば、ストーカーに付きまとわれた挙句、その元彼女に逆恨みされたのだから。  彼女の首には未だに湿布が貼られていた。裕貴子は、わざわざ家庭科の授業がある日の夜を狙って、あの事件を起こしたのだ。みかげの裁ちばさみで原瀬を刺殺し、彼女に罪を被せるために。女性が頸動脈を締めて失神させるというのも驚きだが、それだけ恨みが深かったのかもしれない。  それにしても、だ。 「……まさか、あの店長がなあ……」 「そうは見えないわよね、とても」  ――南条探偵事務所、所長。南条朔真。     
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