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 ――結果的に。  みかげは一旦警察署に連れていかれたものの、比較的早くに釈放された。  例のはさみに付いていた血は、間違いなく被害者のものだったが、やはりみかげを犯人と断定するには不審な点が多すぎたらしい。関谷刑事はいけ好かない人物かと思いきや、なかなか精力的に動いてくれたようだ。  そして、真犯人は、店長の読み通り「最初の通報者」だった。 「犯人があの子を嵌めたんだとしたら、早く発見してもらった方が都合が良いじゃん? できれば、みかげが目覚める前にパトカーが到着してるのが理想的だよねえ」  あいにく、そこまではうまくいかなかったみたいだけど、と店長は笑う。 「はあ……それにしても、同じ学校の同僚、ですか」 「坂峰裕貴子。一つ年上の、家庭科の教師だとさ」  こちらは身長が170㎝を超えている、いわゆるモデル体型のスレンダー美人らしい。それなら、185㎝の原瀬を「普通の持ち方で」刺すことも可能だろう。だから、みかげにはさみを持たせる時も自分と同じように握らせたのだ。身長差のことなど、考えることなく。     
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