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 桐崎みかげ、17才。女子高生はそう名乗った。  生徒手帳を確認した店長が、「まあ、間違いはなさそうだねえ」と間延びした声を上げる。  ひとまず控室に通された女子高生――みかげは、神妙な顔つきをして座っていた。よく見れば、付近でも有名なお嬢様学校の制服だ。髪を染めているわけでもなく、こんな時間まで夜遊びをしているようなタイプには、あまり見えない。  握っていた血の付いたはさみは、ポリ袋に入れて少し離れた場所に置いてある。幸い他に誰も客はいなかったので、俺も二人と一緒に控室にいた。  ……が、正直今すぐ逃げたかった。  だって当然だろう。深夜のコンビニに、凶器を手にした人間が飛び込んでくるなんて、普通なら平静ではいられない事態だ。  もう今日の分の給料はいい。いらないから、帰らせてほしい。けれど、俺はしがないバイトの身だ。店長の許可もないのに、勝手に「帰ります」とは言えない。  一番遠い椅子に座って可能な限り身を縮ませている俺に、店長が呆れた声をかけてくる。 「ビビりすぎでしょバイト君。そんだけいいガタイしてんのに」 「店長が落ち着きすぎなんですよ……」     
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