始まりの物語

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惑星開発用特殊重機-通称レイダーは、全高9メートル前後の二足歩行人型ロボットだ。 その発祥は地球時代末期にまで遡り、元々は老人介護用の 介護士用パワースーツに端を発する。 このパワースーツは介護士達に好評をもって迎えられたが、 地球が滅亡に向って行く過程で姿を消した。 老人介護という物自体が無くなってしまったのだ。 理由は言うなれば食い扶持減らしだ。 限りある資源や資金、若い労働力を、死に向かって弱っていくだけの老人に 割くだけの余裕が無くなった。 延命治療は禁止され、どの国でも安楽死が認められた。 今では信じられない話だが、地球はそれほど酷い状態に なっていて、人類は絶滅の瀬戸際にいたという事だ。 そして老人介護は無くなり、パワースーツも他に使い道が無くは無かったが、 高コストが災いし結局消えた。 しかしこれがもう一度脚光を浴びることになった。 それは人類が地球を脱出した先、惑星エデンでの開拓作業用としてである。 今でこそエデンは人類が支配しているが、当然入植当時はそうではなかった。 危険な原生動物や険しい地形、地球では考えられなかったような気象や現象が 当時の人々を苦しめた。 とにかく地球の常識は一切通用しなかった。 生息している動物は地球の物に比べると、巨大で獰猛で強力だった。 従来の車両や兵器では柔軟な対応が取れず後手後手に回り、 余計な犠牲者を生んだ。 そこで当時の人達はなりふり構わず、山を爆破し海を埋め立て平地にし、 作物を荒らす動物や危険な植物等を根絶やしにして、 大型生物に対しては戦闘車両と航空機で砲弾と爆弾の雨を降らせて、 森ごと焼き払った。 こうしてエデンを「侵略」した人類だったが、中にはこんな意見もあった。 こんな事をしていては、この星はまたすぐに地球同様、住めなくなる。 破壊や殺戮は最小限に止め、環境を可能な限り維持すべきだと。
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