19人が本棚に入れています
本棚に追加
「人類は地球の癌細胞という秀逸な例えがあるが、癌細胞はモラルも知恵も無く
ただ宿主を殺すが、我々は違うはずだ!」
「過ちを理解し、対策を立てて実行する知恵と技術がある!」
「この第二移民惑星こそ、現地の自然と我々の文明とが共存出来る、
本当の意味での楽園-ニューエデンとしなければならない!」
「私は諸君達ならそれが出来ると信じている。たが、傲慢になってはならない。
いくら環境に考慮して手を尽くしたとしても」
男はここで少し間を取り、ゆっくりと次の言葉を続けた。
「これから向かう惑星にとって我々は、侵略者以外の何物でもないのだから」
「そう、侵略者だ。フィクションでは完全な悪役だ。
主人公たちがうち滅ぼすべき、憎っくきエイリアンだ」
「かの惑星は、当然我々に対して牙を剥くだろう。
人体が体内に侵入したウイルスを、白血球で攻撃するかの如く」
「だが、それに対して怒りに任せて焦ってはいけない。
彼らが我々を攻撃してくるのは当然なのだから」
「その際には今の私の話を思い出し、よく考えた上で最善手を打ってほしい」
ここで男はまた一呼吸置き、部屋をぐるりと見回した。
「では私の話はこれで終わ りだ。この後すぐ、部署別の詳細ミーティングにかかってくれたまえ。その後この船はワープに入る。そうすれば半日程で目的地だ」
最初のコメントを投稿しよう!