第6章 (1)アカリside

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第6章 (1)アカリside

ずっと、甘えたかった。 ……。 憧れてた、お父さんの存在に。 近所の友達がお父さんとお母さんに挟まれて手を繋いでいたり、お父さんに高い高いをしてもらったりしてる光景が……羨ましかった。 何で私にはパパがいないの? 記憶を探っても思い出せなくて、写真も家には一枚もなくて…。 幼い頃。 一度だけ、駄々をこねた。 ”何でアカリにはパパがいないの?” ”パパがほしい!” ”一緒に居てくれないパパなんて嫌い!”って……。 最初で最後。 優しいお母さんが、泣きながら私を叩いた。 すごく後悔した。 お母さんを悲しませたくなくて、それ以来自分からお父さんの事は話題にしなくなった。 お母さんを困らせない、良い子でいようって心掛けた。
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