シトラスの時間

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後書きを読む店主。どんな内容だ?と聞くと あれから小説家ではなく絵本作家に転身し それを機に絵を勉強していた彼女と結婚。 妻が絵を描き、自分が物語を書くという夫婦二人三脚で 子供たちが楽しめる物語を生み出そうと頑張っていると書かれているそうだ。 「それにしても・・・うち、何時からサンドイッチ屋になったっけ?」 店主のすっとぼけた言葉に厨房二人は呆れているが、双子姉妹は 「「わっかんなぁーい!!」とケタケタ笑っている。 それからすぐいつものおやつの時間になり できたてほかほかのアーモンドとオレンジのケーキが並んだ。 オレンジの爽やかな香りが私の元にも届く。 「生地がしっとりしてる。牛乳じゃなくてオレンジジュース使うって面白いね!」 実弦がケーキをまじまじと見つめながらなるほどという顔でいうと マーマレードとまだ大量に残った生オレンジを消費しないといけないから それらをたっぷり入れたと次弥が返答した。 アーモンドもさっき焼いたマドレーヌのが残ったから入れたのか。 「要するに残り物お片づけケーキ?」 「文句があるなら食わんでいい」 「え!?違うって!文句なんて一切いってない!頼むから俺の分もとっといてー!」 ハーブティーを淹れていてテーブルに着けない店主が そう喚いているのもお構いなし。 おやつの時間は今日ものほほんとした空気の中、静かに流れていった。
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