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「はい。俺も、そう思います。この奇跡を大切にしたいです。」
「そうだよ~。大事にしてね。ふふ。僕も伯父さんになるんだね。産まれたら抱っこさせてね。しーちゃんと隆二くんのいいとこ取りしてきっと可愛いんだろうな~。」
「…。くっ。お、俺…。」
「うわっ。どうしちゃったの隆二くん? ハンカチ。ほら、泣かないで。なんか感極まっちゃった?」
慌てて俺の目にハンカチをあてて涙を拭う彼は面倒見の良いお兄ちゃんなんだなって思う。彼から見たら俺達は子供にしか見えないんだろうけど。
「ハルさん、こんな俺を認めてくれてありがとうございます。」
「ふふ。ずっと反対されたらって不安だった?」
「はい。紫苑の為にも反対されないようにって思ってました。紫苑には祝福された結婚式を一緒に挙げたかったから。」
ハルさんは、小さな子にするように俺の頭をくしゃくしゃっと撫でる。
「言ったでしょ。僕はしーちゃんが笑顔でいれるのなら反対はしないって。いつでもしーちゃんの味方だからね。もう泣かせないでね。その時は僕、何するかわからないよ? 覚悟して?」
一瞬凄む彼の目は本気だ。
「はい。もう泣かせません。紫苑が泣く時は嬉しい時だけにします! 覚悟はとっくに出来ています。」
ハルさんは何時も紫苑にするように優しく俺を抱き締め、
「隆二くん。弱音を吐くことが出来なくて我慢強いけど、寂しがり屋で優しいあの娘を…紫苑の事よろしくお願いします。僕が大切に育ててきた娘なんだ。」
微かな震えが俺に伝わる。紫苑の事を思って泣いているに違いない彼に俺は今思っている事を伝えた。
「今まで紫苑を見守り育てていて下さりありがとうございました。これからはその役を俺…私が継いでいきます。彼女と一緒に世界一幸せになります。死が二人を分かつその時まで愛して敬う事を誓います。」
「うんうん。幸せにしてあげてね。…ふふ。なんだか花嫁の父な気分だよ。まだ、僕結婚も子供もまだなのに…。泣いちゃうなんて恥ずかしいな。」
「そんなこと無いです。紫苑を実際育てたのはハルさんです。俺達が知っています!」
「ありがとう。」
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