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「その言葉、信用するよ。さてと、ハル? 聞いていたんだろ。こっちに来ないのかい?」
カチャッ。
リビングの扉が開きハル兄が入ってきた。
「なんだ。父さん気付いていたんですか。」
「君の性格は良く分かっているよ。僕の息子だからね♪話はしっかり聞いていたんだろ?」
「聞いていましたよ。でも、それとこれは別。藤阪隆二くん。ちょっと二人でお話をしようか。おいで、僕の部屋に行くよ。」
「ハル兄!」
「しーちゃんは付いて来ちゃダメだからね? 海斗くんとそこでお茶してなさい。」
くるっと振り返りとびきりの甘い笑顔でのたまうハル兄。
「ハルさん! 俺も行きます。」
「ただ、話しをするだけだから海斗くんも遠慮してね?」
「ボコらないよね? お兄ちゃん、隆二を怒らないで。逃げた私も悪かったんだから。」
「そんなに不安な顔しないで。お腹の子に悪いよ。ほんとただ、話をするだけだから。(返答次第ではボコるけどね。)」ニコッ。
「仕方ない。大人しく待ってようか、紫苑。」
「お兄ちゃん。」
「しーちゃん。僕は君の嫌がることはしないから。信用して?」
「信用してるよ! でも、ハル兄怒ってる! 隆二に対して物凄く怒ってるじゃん!」
「まあ、しーちゃん泣かしたんだからそこは仕方ないんじゃない? 嫁入り前の娘を傷者にしたのは事実だし? 」
「ハル兄!」
「そ、それは私が望んだ事だから隆二には関係ないよ!」
「関係なくはないよ。断ることも出来るんだからね。兎に角、ちょっとお話するだけだからね?
わかった。何もしない。例え、怒っても手を出さない。しーちゃん、これでいい? 僕さぁ、しーちゃんに嫌われたくないよ?」
「うん。絶対だよ! じゃないと、私付いて行くからね!」
「はいはい。可愛いしーちゃんの頼みなら仕方ないね。怒りも抑えとく。でも、しーちゃんに聞かせたくない事も聞くからここで大人しくお茶しててね。わかった?」
「しーちゃん。お父さんとお母さんと海斗くんの四人でお茶してようね。」
「はい。…。隆二。」
「紫苑。大丈夫! ちょっとした面談だよ。」
「さあ、行くよ。」
ああ、なんでドナドナに見えるのー?
少しあの背中が切ない。
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