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田中さんがランチを断るなんてやはり、よほど調子が悪いようだ。
「田中さん、ちょっといいかな。」
あ、遂に課長に呼ばれた。
田中さんはぺこぺこ課長に謝っている。
こりゃ、残業だな。ざまあないな。
17時になり、終業のメロディーが流れる。
悔しいことに僕も残業がうまれてしまった。
「お疲れっすー。」
「え、」
「高輪ちゃんもお疲れ様ぁー。」
勝手に「ちゃん」付けで呼ぶなよ。
心の中で突っ込む。
田中さんは昼間の顔色が悪くなったのが嘘みたいに仕事はしっかり終わらせて定時に上がっていった。
田中さんはちゃらんぽらんに見えて仕事が出来る。
それがまた悔しい。
僕は入社して3年になるが、真面目にそして臨機応変に柔軟に仕事をこなしてきた。
田中さんはちゃらんぽらんで、スーツや靴はオシャレなモノを選ぶから女子社員に人気で、高身長で学生時代モデルをやってたらしくて、声も低くて、嘘みたいにジェラシーの塊だ。
僕は身長もそんなに高くないし、それなのに声高いし、細身だし黒と紺のスーツ以外は来たことがないし、女子社員には女の子扱いされるし、ど近眼だし、コンプレックスの塊だ。
男として、せめて仕事だけでも田中さん以上に成績は残したいから、ライバルとしていついかなる時も張り合ってきた。
ライバルとしていることは僕の心の中でだけだけど。
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