10.秘密

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「おまえら、できてんだろ?」 篠田優斗(シノダユウト)が俺の肩を抱いて耳元で楽しそうに話しかけてきた。 「は?誰と誰の話してんの?」 「わかり易すぎだから。おまえと高輪だよ。」 合コンの人数合わせに呼ばれた。 タダ酒飲めると話に乗ったが、今日は最悪な気分だった。 「あー、想像力豊かだな。俺、あいつ嫌いなんだわ。」 「へぇ、毎日一緒にいんのに?強がんなよ~」 「うるせーよ。」 昼間、あいつと先輩が付き合ってることを知ってしまった。 しかも、午後から二人で会社をばっくれた。 俺がいつも近くにいたのに。 腹がたつ。 全てが俺のものだったのに。 「お前って顔に出やすいのな。」 ムカつく。 「悪い。帰るわ。」 勢いよく席を立つと女の子たちが「えー」とか「帰っちゃうの?」とかピーピー言ってる。 うるさい。 耳障りだ。
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