10.秘密

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帰りにコンビニに寄って強めの酒を買った。 歩きながらキャップをキュッと開けて半分くらい一気に飲んだ。 「っはぁー」 酒で全部忘れられたらどんなにいいだろうか。 高輪と金曜日はだいたい一緒に飲みに行って、昼飯は一緒に食べて、同じ時間で仕事が上がれたときは一緒に帰った。 「僕、土岐津と同期でよかったよ。」 なんて、言われた時にはもうあいつに惚れていた。 高輪の様子がおかしくなる前の金曜日。 あの夜珍しく深酒をして二人で駅に行った。 終電は既に終わってしまっていて、酔ってまっすぐ歩けない高輪を階段に座らせて少し息をついた。 「土岐津はさぁ~、モテるからうらやましいなあ」 「モテねーて。」 「告白されたらろうすんの?」 「?、なに?誰に?」 「例えだよ!好きな人に告白されたらどういうの?」 「はあ?やっぱ、飲みすぎてんな!」 「真面目になやんれんの!好きならすきっていうろ?んー?わかんねーね」 「お前って…好きな人いたんだ?」 「そらー、ね。わかんねー…。ぉえ、なんか吐きそ…」 高輪の心の中に誰かいて、そしてそれが俺だったら、なんていい妄想を膨らまして妙に浮き足立った。 「ちょ、飲み物!水買ってくるわ!動かず待ってろよ!」 「ぅ、」 俺は近くの自販機に行ってカードで払おうとすると、チャージがないことに気づいた。 そして、財布をのぞくと、居酒屋で小銭を出してきてしまい、小銭もないことに気づいた。 仕方なく、近くのコンビニにまで行くことにした。 コンビニは少しだけ離れていたが、振り返って高輪を見ると壁に寄りかかって眠っているようだったし、5分もしないで戻ってこれると思ったからその場を離れた。 そして、その後は、高輪が姿を消していた。 駅周辺を探したりしたが見当たらなかったから、タクシーにでものったんだと願って俺もタクシーで帰った。
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