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「マジで!ヤバいな、聞こえてなかったよな?」
土岐津が焦って僕にヒソヒソ言ってきた。
聞こえてようが、聞こえてまいがどうでもいい。
僕が今気になるのは田中さんの荒狂ってるその会話の内容だ。
僕は気付かれないようにスッと席を立って田中さんの真後ろの席に着いた。
水谷「お前、結婚記念日は忘れちゃダメだろー。俺が奥さんでもそれは悲しくなるな。」
田中「女々しいなぁ。そんなもんかねぇ?」
水谷「電話は?繋がんないの?」
田中「ダメ、ダメ。着拒されてる。」
水谷「なんか前触れとかなかったわけ?」
田中「んー、前触れっていうかー、、俺ら30になるじゃん?だからさー、子供欲しいとか言われたんだよね。でもさぁー、俺、何ッかわかんないけど、勃たなくてぇ」
水谷「えっ!若いのにもう、イー」
田中「ちっがうわ!!それがさ。奥さんに欲情しないのよぉ~」
水谷「え!?マジで!?あんな美人にムラムラしないで何にムラムラすんだよ!!!????」
田中「ちょぉ、声でけーよ。」
水谷「いや、悪い、取り乱した。で?なに?奥さんじゃなく何にムラムラすんの?」
田中「んー、なんだろうなぁ、わっかんないけど、勃つことは勃つの!」
水谷「AVには勃つとかそゆこと?」
田中「…水谷はさぁ、同期だけど部署違うじゃん?だからわかんないかもしんないけどぉ、同じ部署に気になる奴がいるんだよね。」
水谷「…おい、ちょっと、ちょっと待てよ、お前の部署ほぼ男じゃん!まさか、、」
田中「んー、そのまさかなんだよねぇ。」
水谷「…俺はお前が少しこわくなってきた」
田中「あ、安心して、お前タイプじゃねぇから。」
水谷「なんか腹立つな。」
田中「俺が多分もうミチルに気がないの薄々気づいてたんだと思う。女って変にカン鋭いし。ミチルってなんでもお見通しだし。」
水谷「それは…まぁ。仕方ないのかもなぁ。」
お互いビールをゴクゴクっと飲み干した。
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