10.秘密

7/8
前へ
/114ページ
次へ
「なあ、俺はホモ肯定派で、お前の友人であるのに、田中さんと付き合ってるってわかって、どうしてお前を避けたんだと思う?」 「…それは、信頼して言わなかったから?」 「んー、じゃあさ、どうして俺は入社して三年間そこそこモテるのに彼女も作らず、仕事もプライベートもお前といたと思う?」 「…!」 「どうして、お前がタバコ嫌いだからってタバコやめてたと思う?」 「土岐津…あの、僕、気づかなくて…」 「…あーあ、お前って鈍感だよなぁ。こんな感じで伝えるつもりじゃなかったのにな。」 「……ごめん。」 高輪が蚊のような声で謝る。 「なぁ…高輪。それでも友達でいたい?」 胸が千切れそうだった。 「NO」て言われるのは明確だ。 これで終わりにしたほうが、彼も自分も幸せになれる。 それなのに… 「土岐津のなかで、僕は友達にはなれない?一緒にいるときは田中さんの話はもうしないよ!あと、惚気たりなんて絶対しない!だから…」 「いい加減気づけよ。鈍感にもほどがあるだろ。俺はお前が好きだって言ってんだぞ?いつ襲うかだってわかんねぇからな。」 「ぼ、僕だって男だ!抵抗くらいできるよ!」 こいつのアホさと鈍感さにうんざりしてきた。 「…お前、田中さんとヤったの?」 「?、な、なにを?」 「セックス。」 「!!!!」 高輪が、顔を真っ赤にした。 「穴の具合、よかったろ?そんなに慣らさなくても入ったんじゃないの?」 「…!?」 高輪の顔色が今度はだんだん青ざめていく。
/114ページ

最初のコメントを投稿しよう!

590人が本棚に入れています
本棚に追加