11.大丈夫。愛してる。

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屋上についたが、女子社員が2~3人いたくらいで高輪の姿はなかった。 高輪のケータイに電話をかける。 電話はひたすらコールするだけで全くの無反応だった。 「ちっくしょ、どこいった…」 自然と独り言が漏れてしまって走って階段を駆け下りた。 もしかしたら、デスクに戻ってるかもしれないと一度部署のあるフロアに戻ってみた。 「な、高輪きた?」 「あ、はい。さっき荷物持って帰りましたよ。なんか具合悪いとかで…顔色悪くて部長もすぐ帰れって。」 完全にすれ違ってしまっていた。 だんだん心配は不安に変わっていく。 本当に高輪に何か起きたんだ。 デスクに戻って飄々としている土岐津を睨んで俺も荷物を持って帰り仕度をした。 「え!?田中さんまで!?午後からの企画会議どうするんですかー!?」 「悪い!あとで指示メールしておくからあと頼んだわ!」 今は仕事よりも高輪を優先したい。 急いで会社を出て高輪を追った。 もう一度高輪に電話をかける。 今度は驚くほど早く電話に出た。 『はい。』 「高輪!いまどこにいる?」 『今、改札です。今日は、ちょっと帰ります。』 「具合悪いのか?俺もすぐ行くから、そこ動くな!」 『大丈夫です!一人で帰ります。いや、一人で帰らせてください。田中さんに、会わせる顔がありません…』 「何言ってんの?なぁ、頼むから。心配なんだよ。頼むから、そこ、動かないで。」 『…はい。』 高輪の消えそうな声を聞いて余計心配になる。 「電話切らないで。そのままで」 『…田中さん。ごめんなさい…』 「泣くなよ。俺が行くまで、泣くな?」 今にも泣き出しそうな声が不安を掻き立てる。
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