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 その日、彩花は部署内で一番最後まで部屋に残った。  誰もいなくなると彩花は早速作業に取りかかった。  まずはフリーメールでアドレスを取得した。アドレス名は特に意味のない数字とアルファベットの羅列(られつ)にした。  そして、自分のスマホからそのフリーメール宛に月子と森川の密会写真を3枚ほど送った。  メールの件名と本文には、一応短い文章を打ち込んだ。件名と本文に何もないと、迷惑メールや間違いメールだと思われて読まずに削除される可能性がある。  メールを作成したら、宛先に会社の同報メールのアドレスを全てコピペした。  これで会社の社長や重役はもちろん、彩花のような新人に近い社員まで全ての人間にメールが届く。  最後に彩花はメールに月子と森川の密会写真を3枚添付した。 (――これで、準備OK)  後はメールを送信するだけだ。  彩花はメールの送信ボタンを押そうとして、思わずマウスを掴んでいた手を離した。  自分が送ったとバレないにしても、本当に月子と森川の不倫の証拠を社内にばら撒いてもよいのだろうか? と良心がとがめる。 (でも、やっぱり……)  彩花は再びマウスを掴んだ。
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