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 彩花は何とか倉庫整理を終わらせると、自分の部署に戻った。  早速、自分のパソコンにUSBメモリーをさして、月子から言われた『0129』のパスワードを入力する。  入力しながら彩花は「そろそろ別の人を探した方が良いわね」という月子の言葉を思い出した。  自分でも別の人を探した方が良いとわかっている。そうは言っても彩花はやっぱり森川のことが好きだった。  彩花は少し離れた席にいる森川を見た。 (――やっぱり、あなたが好き)  心の中で呟きながら森川を見つめていると、彩花は突然背中を強く押された。  振り返ると、ちょうど美咲が後ろを通り過ぎようとしているところだった。 「ごめんなさい」  美咲は彩花を見下ろしながら言うと、何もなかったように通り過ぎて行った。  たまたまぶつかっただけにしては強い力だったな、と彩花は思った。そして、あの美咲の表情。自分を見下ろした時に睨まれたような気がしたけど……。  彩花はさっき、月子が「森川君のこと、好きなんでしょ?」と言っていたことを思い出した。 (もしかして、美咲は私が森川課長のことを好きだと気付いているの?)  美咲だって森川のことが好きなんだ、月子とはまた別の意味で森川のことを見ているに違いない。  そうなると、森川に熱い視線を送る彩花の存在に気付いてもおかしくない。 (だから、美咲は私にだけ冷たいんだ)
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