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 森川と月子の密会現場の写真に撮ってから数日間、彩花はずっとあの写真を社内にメールしようかどうか迷っていた。  自分でも最低なアイディアだと思う反面、じゃあ、月子と森川は最低ではないのか? という自分の声も聞こえてくる。  彩花の心の葛藤を他所(よそ)に、月子も森川も美咲も普通に仕事をしている。  前は森川と美咲が一緒に話しているのを見る度に胸を痛めたが、今では森川と月子が一緒に話している時の方が胸が痛い。  部署内では美咲の仕事の引継ぎをどうするかの話をしていた。  美咲は森川と結婚する前に寿退社することになっている。前に何故か倉庫整理を引き受けてしまった彩花は、月子の計らいで美咲の業務を引き継ぐことはないらしい。  彩花は月子の優しさに感謝したいところだったが、素直に喜べなかった。  感謝や喜びの感情よりも、どうして月子が自分に優しくするのかが不思議だった。  仕事もできるし自分から見ると完璧な人間の月子が、どうして不倫をしているのかも不思議だった。  彩花は月子の話を聞きながら、月子と森川の関係がバレたら美咲はどうするのだろうかとぼんやり考えた。  美咲は彩花からすればイヤな女だが、森川を好きな気持ちは本気だろう。  彩花は美咲にほのかに同情の念を感じていた。
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