1:悪役令嬢は地を這う

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フィオナは雨の中、恐怖に顔を強張らせながら左腕を抱えるように魔物の巣くう[迷いの森]を走っていた。 『背中が熱い、腕が熱い』 背中に大きな切り傷、切り落とされて無くなった左手を巻いているショールは血で真っ赤になっている。 「こっちだ!」 近くで男の声がする。 『怖い怖い、死にたくない!』 無我夢中で走る彼女の顔や腕、足は枝や草により切り傷擦り傷だらけである。 本当なら気絶してもおかしくない大けがであるにも関わらず、それでも足は止まらない。
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