615人が本棚に入れています
本棚に追加
フィオナは雨の中、恐怖に顔を強張らせながら左腕を抱えるように魔物の巣くう[迷いの森]を走っていた。
『背中が熱い、腕が熱い』
背中に大きな切り傷、切り落とされて無くなった左手を巻いているショールは血で真っ赤になっている。
「こっちだ!」
近くで男の声がする。
『怖い怖い、死にたくない!』
無我夢中で走る彼女の顔や腕、足は枝や草により切り傷擦り傷だらけである。
本当なら気絶してもおかしくない大けがであるにも関わらず、それでも足は止まらない。
最初のコメントを投稿しよう!