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それこそ不思議と、桜嘉ちゃんが首を傾げる。やっぱり、この感覚は難しいのかな。
「好きになった人なら余計に、下には見られたくないっていうか。私、無駄に負けん気が強いからかな。対等とまではいかなくても、認めてもらいたいというか」
「婚姻を結んだ時点で、相手の男性は貴方を認めていると思いますが」
「女としてとかじゃなくて、人として。私は私で、ちゃんと立っていたいというか。気持ちだけでも、自立していたいというか」
うーん、やっぱり難しいか。
「春華様は、かっこいい皇后様になられるのね」
「へ?」
思わず玉蘭ちゃんを見ると、ほっこりと笑いながら彼女はお茶を飲んだ。
「過去にも、かっこいい皇后様はいらしたのよ? 龍王様を傍で支えて、乱が起これば自らも戦うような。春華様は、そのような皇后様になるのですね」
「そこまで勇ましくなれるかは、まだ分からないけれど…」
でも、しなだれかかるよりは似合いか。
ふわふわと笑う彼女の笑顔は、その場をこの上なく和やかにしてしまう。
結局はその笑顔に呑まれて、その後はそれとなく、貴族の中で何が流行っているだの、どこのお店の甘味が美味しいだのと、私の世界でも共通な女子トークが展開するのだった。
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