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「何事があったのでしょう? もしも不安があるのでしたら、兄に相談してみてはいかがでしょうか?」
「あ…」
こんな幼い子にまで、私は心配されている。こんな事で、どうするんだ。
そう思って無理矢理笑ったけれど、どうも最近失敗ばかりだ。余計に心配そうにされる。
「兄はきっと、春華様の助けになってくれると思います。言いずらい事でしたら、もっと話しやすい人に伝えて、人づてにでも」
「あの、大丈夫だから! 私の問題だから」
慌てて言った。
すると紅春くんは何かをとても訝しんで、次には丸い愛らしい目をスッと細くした。
「もしかして、兄が原因ですか?」
「違う違う! 紅泉は何も…」
「兄が原因なのですね」
うっ、なんだこの鋭さは。見た目似てないのに、しっかり似てるじゃん。
こうなるともう、紅春くんにも勝てる気がしない。俯いてまま言葉を失くしていると、紅春くんはとても怖い顔をしていた。
「よかったら、話して下さい。僕にお手伝いできる事があれば、何でも致します」
「ううん、紅泉は何もしてないの。私が…」
「貴方にこのような顔をさせている時点で、兄の落ち度です」
キッパリ言い切る辺りも紅泉に似ている。そして私は結局、この強引で力強い目には勝てなかった。
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