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そうは言うけれど、けっこう嬉しそうな声だ。
「春華様は本当に器用で。それに、熱心なのですね」
「そうかな? まぁ、昔から集中すると周りが見えない感じだったけれど」
いいような、悪いようなだよ。
「私はこうした事が苦手ですから、羨ましいですわ」
「私だって李燕が羨ましいよ。綺麗で上品で、それに舞いや楽器が得意で。私はてんでダメだもん」
お互い無い物ねだりな感じがする。
「やっぱ身につけないといけないんだよね」
「そんな事はありませんわ。旦那様がそれでよいと言うなら、甘えてしまえばよろしいのですもの」
「そういうもの?」
一応、おもてなしとかする時に必要なんじゃないの? 余興的な感じで。
けれど李燕は頷いてくれる。そして、正直な所を教えてくれた。
「舞いも楽器も、良き伴侶を得る為の武器ですもの。後宮にいる娘も、良き伴侶を得たいと思う者が大半ですわ」
「後宮で働くと、良縁に恵まれるの?」
「えぇ。それだけしっかりとした教養と礼儀作法を身につけた女性である証明ですわ。それに、舞いや楽器もできなければなりません。何より、器量よしでなければ後宮には入れませんし」
「なるほど…」
つまりここに勤めていましたっていう実績があれば、それだけイイ女ポイント上がるんだ。
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