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他愛ない話と、近況と、今度一緒に出掛ける約束をして、私は午後になって紅泉の部屋にきていた。
寝台の上に寝ている紅泉の胸は、規則的に上下している。触れる手はとても温かい。それだけで、少し気持ちが落ち着く気がした。
「早く、目覚めてよ」
呟くように私は言う。事件から二週間、私はずっとそれを願っている。
温かな手に触れたまま、私は寝台の脇に頭を乗せる。少しだけ眠くなってきた。最近、ここで眠るのが癖になってきた。
うとうとして、そのまま私は眠ってしまう。秋の少し涼しい風が窓から吹き込んでくる、穏やかで過ごしやすい午後だった。
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