誓いの言葉

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 目を見開いて驚いた顔をする紅泉に、黒耀は左の胸辺りをトントンと叩く。紅泉はそれに気づいて、自分の左胸を見てさらに驚いた顔をした。  紅泉の左胸には桜の花びらのような痣がある。以前は私にあったものだ。龍玉が紅泉に移ってから、私のはなくなった。 「こっからは多分な。春華ちゃんの必死の願いに、龍玉が反応して叶えた。その結果、龍玉はお前に移り、お前の命を救った」 「そんな事が可能なのか?」 「さあな。だが、紫廉に言わせれば命を助けるくらい朝飯前なんじゃないかって話だ。なんせ、国が混乱すると界を渡って娘を導くなんて、とんでもない力を秘めた宝珠だからな。ただこれに関しては、龍玉を調べられないから、なんともな」  これには紅泉も頷くより他にないのか、深く考えながらもとりあえずは飲みこんだようだった。 「ってなことで、おめでとうさん。何の問題もなく、これで二人はずっと一緒に居られるって事だ」  ニヤニヤしながら黒耀が私と紅泉を見る。それに、私は気付いて顔を赤くした。 「それで、婚礼の儀式はいつにするのかな? あ、もしかして僕ってお邪魔虫?」 「黒耀!」  真っ赤になって反論する。けれど紅泉がグッと私の腕を引いて抱き寄せるのに、私は違う意味で赤くなっていった。 「分かっているじゃないか、黒耀」     
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