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耳元で囁かれる言葉に、震えそうなくらい緊張してしまう。胸が苦しくなってしまう。けれど私は素直に頷いた。
「覚えてるよ」
「覚悟は、いいか?」
「覚悟」という言葉が、私に一歩踏み出す勇気をくれる。
私は確かに龍玉に誓った。この世界で生きていく。紅泉の傍にずっといると。その言葉に、嘘はない。
赤い顔のまま紅泉に向き直った私は、彼を見た。深紅の瞳がとても真っ直ぐに、私を見つめている。
「春華、私の妻となってもらいたい。共に、傍にあってもらいたい。この気持ちが常に真実であると、ここに誓う。偽らぬ私の気持ちを、受けてくれるか?」
鼓動が強く早くなって、体中が熱くて、少しだけ居心地が悪くて、でも嬉しくて幸せで溢れてきそうで。
私はグッと手を握って、紅泉を見た。
「私も、誓います。ずっと、紅泉の傍にいます。沢山、足りないものもあると思う。沢山、迷惑もかけるかもしれない。けれど気持ちだけは、ずっと紅泉の傍にいるから。だから、傍に居させて」
震える声で、ちょっと上ずったりもして、私は思う気持ちをどうにか伝えた。
紅泉の表情が、みるみる嬉しそうに、でも恥ずかしそうに染まる。その表情は年上のこの人を少し幼くも見せて、なんだかほっこりと笑えた。
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