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「何度だって戻って、絶対に助けるから。だから…」
「それは、止めてくれ」
愛しいんだ、春華。自分以上に、大事な者なんだ。そういう気持ちを、くれた娘なんだ。
「龍玉は、お前に負担をかける。これ以上は、身を削る」
「それでもいい! 私は、紅泉と一緒じゃなきゃ嫌。紅泉以外いらないから。他の誰かなんていらないから。私は…紅泉とずっと一緒に、生きているんだから…」
力が抜ける、意識が途切れる。それでも生にしがみついていたい。みっともなく足掻いても、お前の傍にいたい。
お前も、同じ気持ちでいてくれるのか? 一緒に、生きてくれるのか?
願いが落ちてくる。心が口に上る。最後の最後に、心が溢れだしていた。
「…あぁ、私も願っている」
力が抜けて、完全に春華に体を預ける形となる。温かい体が心地よい。冷たくなる身を感じて、それでも願いを口にすることを止められなかった。
「他の誰かになど、渡したくはない。お前は、私のものだ。お前と共に生きるのは、私だ」
「紅泉…」
「願ってやまない。叶えられるなら、何を捨ててもいい。長い寿命も、必要はない。ただお前と共に、添い遂げるだけの時間があれば、それ以上など望まないというのに…」
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